FujiYama’s blog

バイオリン弾きの日常的な生活の風景、感想などのブログです 政経もけっこうあります

ミドル級新作バイオリンの多彩な誘惑

しばらくお世話になっているミドル級バイオリンは十年以上のシーズニングが自然にできている。ニスも繊細なもので悪くない。まだ付き合ってみて数年間しか経っていないけど、まずまずの音を出してくれる。
しかし実は高音の伸びに不満を持っていたので、今回調整してもらうことにした。f:id:FujiYama:20210127130903j:plain
バイオリンの特長はあっさり高音だと思う。
いろいろバイオリンの魅力を思い巡らしても、高音がパッとしなければ辛いものがある。多少低音で譲歩しても高音が鳴らないものはどうしようもない。
ストラディバリは別格だが、それでもモダンやオールドの高音は媚薬効果でもありそうな危険な美しさを持っている。それと比較してもなお張り合える程度の高音の伸びを準新作に期待するのはやや高望みである。
しかし、たくさんの新作バイオリンを試していくにつれて、鳴る楽器は本当に鳴ることに気が付かざるをえない。マウリツィオ・タディオリさんの新作は世界でも有名な人気作品でそれはただ鳴るのではなく、美しく艶やかに鳴る。ただしミドル級ではなくて、最高級クラスなので手が出ない。
やや中価格帯では、ピエールマルセルのDX、ヤンボーバック、ギュンターローベなどが艶やかに鳴る。そして共通しているのは低音も十分にいける。
これは官能的な問題と予算の制約で相談することで落ち着くところを決めなければならないという面もある。
しかし、人に聴いていただくものである以上、自分さえよければいいというものでもない。
楽器屋さんの接客の方は技量でカバーできる面もあると仰っていたが、それは本番に強いという性質が前提になる。
本番で緊張に押し潰されそうな人は、ある程度よいランクの楽器が必要だ。
演奏する本人が納得がいく表現力ある楽器と、聴き手が素晴らしいと感じるだけの演奏力と楽器の魅力を両方満たす楽器選びが必要になる。
その必要十分条件を満たすものは、それなりの金額がするので、バイオリンを趣味にするのは、なかなか貧乏人にはホネかもしれない。
まだしばらく試し弾きしたいが、悩ましいことが多い。決して超高級ではない中価格帯でも魅力ある楽器が結構あるからである。