FujiYama’s blog

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日経さん、先進国に移民減少(衰退)の危機を煽るのはいかが

 そういう記事を読んで、先進国は衰退するようなイメージを植え付けていくのは、なんのためでしょうか?記事はただ面白ければよいのですが、それでは破壊衝動的で愉快犯的な煽りにすぎないのではないのか?というのが私の考えです。中華帝国の野望に賛同する輩の記事かもしれません。

 少し読んでみると、もし移民がゼロになったら、というグラフがあります。しかし土台ゼロにはなりません。コロナが収束すれば従前のように移民問題がバンバン取りざたされるようになります。しかも下らないことに移民がゼロになるとアメリカの人口が1000万人減少するから衰退するのだそうです。みなさんはアメリカの総人口を御存知でしょうか?それからするとわずかな減少幅です。労働人口が多少減少しても、影響はそれほどではありません。

 間違えてはいけません。これは移民の問題ではなくて衛生問題でありコロナ問題なのです。この経済誌というのは土台から浅はかな論です。

 問題の核心をそらして労働人口だけを見れば先進国衰退か?みたいな見出しがつけられるというわけです。

 たしかにブラジルやインドやメキシコを別にすると先進国のコロナの感染死亡者が桁違いに多かったのですが、これは先進国が今回の事件を契機により衛生的な生活スタイルに進化する余地があるということです。ちょうど最初にマスクをする東洋人をパンダだと馬鹿にしていたことが特徴的です。今やみなさんがマスクをするようになりましたが、それはほんの一端です。なぜ日本だけがわずか1500名あまりの死亡者で済んでいるのか、世界は注目しているはずです。そして先進国は特に日本文化にもともといくらかの興味と正しい知識がありますから、日本人の衛生観念がいったい何であり、どのようにすれば感染者や死亡者が激減するのだろうかと考えているはずです。

 1年や2年ではこの状況が完全に元どおりになるという感じではありませんが、およそ3年から5年の間に先進国の感染症対策、衛生文化習慣などに変化が認められて、状況は改善されるであろうと思います。欧米人や途上国の生活習慣はたしかに不衛生そのもので、感染とその悪化のリスクは面白いほど高いわけですから、改善も劇的になされる余地があります。水道料金はニューヨークも日本も同じ程度です。彼らが日本文化に学ばなければ、たしかに先進国への人的移動そのものも減少せざるをえず、やや衰退気味になるというのも予測できますが、多少なり便利な衛生的習慣を取り入れる気があることがマスクの件で認められますので、念入りな手洗いや毎日の入浴習慣などなんらかの改善はあると思います。

 先進国の人口、経済状況は確かに重要な関心事ですが、私は今回のコロナと衛生問題であらためて痛感したことは、衛生的な水道を気兼ねなく毎日使えるかどうか、という社会資本のありがたさでした。これは、むしろ水道がきちんと整備された先進国への移民を加速させるのではないかと思います。むしろこの件が収束に向かえば、かえって移民は増加してトランプ大統領の選挙戦術みたいに大変なことになりかねない、ということです。途上国の人々が水道のありがたみに気が付けば、さらに日本や欧米に行きたがるようになるでしょう。経済誌がとりあげるべき問題は途上国の人々にその情報と渡航費があるかどうか、ということかもしれません。

 もうひとつのポイントにコロナで重篤化する人たちに共通の特徴があるのかどうか、ということです。それがはっきり解明されてしまえば、移動制限はまったく無意味になりますから。むしろ安全な人だけがどんどん安心して移動できる条件がクリアになるかもしれないのです。

 いずれにしろ、状況は刻刻と変化しており、移民ゼロなんていう夢想をしている暇なんてないハズです。移民をある程度労働力として採用し続けるという先進国の産業構造は大きくは変わりませんし、自国民をきちんと永続させようとする動きも変わらないでしょう。そのはざまで如何に貧困層を減らすことができるか、という別の課題に対して、明確な答えは社会資本全般の整備と維持を政治と経済でタッグを組んできちんとできるかどうか?にかかっています。もはや昔のように民営化をもてはやすようなことはできません。国家政府の経済への規制や介入とは別に、国そのものの維持をしていくために、公的なリーダーシップはどうしても必要なのです。民間まかせでは国の分母を削りどうしで、少子高齢化問題だけでは済まなくなります。日本人には民間だけになるとまさに私利私欲に突っ走ってどうにもならなくなる性質がありますから、民間企業の暴走と国の衰退が一致している昨今、政治の役割を今一度見直してみることも大切です。

 日本へ来た移民が過密都市にたくさん住んでいるのに、なぜコロナ死亡者が1500名余りで済んでいるのかという、さらなる興味ある話題もありますが、今回はここまでにしておきます。