日本人が好きな焼きそば。
屋台やお好み焼き屋やインスタントの焼きそばがイメージに浮かぶ。
本格中華料理店の焼きそばはさらに上質でいくつかの好きな焼きそばを出す店があったことをふと思い出す。
しばらくスーパーのソース付き生麺の焼きそばをアレンジしていたが、当たり前に野菜の炒め具合と肉魚介類の豊富さがかなりの要素である。
そして辿り着いたのは、小倉名物焼うどんであった。
タイの焼きそばをいくつか、インドネシアの焼きそばをいくつか、食べてみると日清やマルちゃんの焼きそばとイメージがかぶる。
味は異なっているが似通っている。
明らかに影響された中毒性ソースの焼きそばなのだ。
では日本のオリジナル焼きそばは?と探求すると本格中華焼きそばか小倉焼うどんかという二択に絞られる。
ソース派は中華焼きそばであり、醤油派は焼うどんだ。
そこからもう一歩進んで、醤油とソースでアレンジする焼うどんこそ、日本オリジナル焼きそばではないだろうか?と思うに至った。
一方で麺が細くなければそばではないという意見は当然だ。
焼うどんには蒲鉾やハンペンであまり姿形のある魚介類は一般的ではなく、うどん麺の太さと表面の摩擦係数はノドごしを決定する。
つまり焼きそばとはたいていは中毒性のあるアジアのソース炒め麺の多彩な料理だが、家庭の一般料理だから好みで作ればよい。
わたしの好みは、表面がざらざら小麦粉むきだしの太い麺のうどん、短時間でパリッと炒めあげた一口大のキャベツや土地の季節野菜、豚肉の細切れ、貝類を含むシーフードミックス、醤油7ウスターソース3くらいのソース、青のりかあおさ、かつお節、七味があれば言うことはない。
中毒性のないサッパリした一皿が好みだ。
一工夫、一材料で、世界中どこでも、いくらでも完璧な最高の炒め麺が楽しめる。
ところが、小倉で焼うどんを食べたいとはまったく思わない。
平和祈念の像やメモリアルクロスを思い出すこともない小倉民は野蛮で凶暴な人たちだ。
衰退して閑散とした街路と虚しい寂しさだけが吹きっさらしの旧軍都の風景の中に、私の食卓はどこにもない。
原爆投下目標、小倉造兵廠。