FujiYama’s blog

バイオリン弾きの日常的な生活の風景、感想などのブログです 政経もけっこうあります

耳が悪いのか楽器が悪いのか 趣味のバイオリンの深刻な音程問題 さえない10年選手たちへ贈るあるつぶやき

f:id:FujiYama:20210922215454j:plainG線の開放弦の聞こえかたが楽器によって違うことにはじめて気が付いたのは十数年前で、いくつか弦を試していたころだった。ガット弦のオイドクサばかり使っていて、結局オイドクサに落ち着いたが、ナイロン弦がまったく使えなかった理由は音程がありのままに聞こえなかったからだ。全体的に響きの量が不足していたのでナイロン弦の中ではオブリガードが当時は一番よくて耐久性さえあれば今でも嫌いではないよい弦だった。きちんと鳴らない楽器が鳴っているように錯覚できるのです。それ以外試したナイロン弦例えばワーシャルブリリアントやインフェルドでは調弦の時点でG線がスカスカで音が骨粗しょう症みたいなイメージなので音程が聞き取りづらくて仕方がない。聞こえないと言っても、聴覚は普通にある。
トロのプレーンガットも素晴らしいけど、爪が立つだけでほつれるのでどうにも使いようがない。
弦は要するに巻線ガットしか選択肢がないと結論しました。
音が響くようにする方法として弓を替えたら鳴らない楽器が多少発音しやすくなる。
弓を替えなければ弾けない楽器でした。
有名な老舗楽器店であっても買って手元に来た時のままではあまり使いやすいとは言えませんでした。結局煮ても焼いても食えない楽器でした。

最近はE線が鳴らない楽器を使っていたので、新作の名器に換えてから、毎日のように音階や曲で音程を取り直しています。一音一音微妙にずれると、脳にピッと来ます。あっ今音程微妙に低いとか高いとか。鳴らない楽器は音程が曖昧に聴こえて曖昧に曲が流れて、左手指が指板を押さえる感覚がいびつに歪んでいきます。
E線のFシャープが低くなりやすい。
E線のGが高くなりやすい。
D線のFシャープはぴったり。
こういうのが耳からピッと判らないとバイオリンとは呼べないものです。
技術と楽器は直接の因果関係とほぼ同じです。
もしこの世界で鳴らない楽器を禁止して焼却してしまえば、趣味のバイオリン弾きは全員上達するしかありません。もし趣味のバイオリン演奏を公害認定すると、環境問題だということに。。。はたして精神衛生と公衆衛生と近所のバイオリンの音程は無関係なのか?
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幼少期に音程がずれて毎日怒鳴られたことを覚えています。ヒステリーか教育ママかスパルタの一類でしょうが、スズキバイオリンというのはとにかく鳴らない。キンキンのクロムコア弦でも聞こえないのはまだ耳ができていなかったのでしょう。それにしても、そんなに怒鳴らなくても良いだろうとご近所が心配するほどでした。
中学生のとき、先生に音程の修正を指示されました。調弦を教えられて微妙な音程を修正されましたが、教室の合奏や良いオーケストラでも微妙な音程をわかるようになりました。
三十代で音叉を一時期使いましたが、五度を弾き始めから瞬時にとれず、弾いていくなかで思い出す状態まで音感は悪化していました。
25年以上前は単純なチューナーは二万円を超えるのが普通でした。値段が劇的に下がったチューナーを使うようになって気が付いたのですが、音感の幅は1日休むと拡がるということ。精度があっという間に下がります。鳴らない楽器だとピーターインフェルドが一番音程が脳にピッと来ます。マシな程度ですが。
自然な感覚は大切ですけれど、惰性に任せるほど我々の感覚は確かではないなと思いました。特に孤独に弾いている人は、基準を毎日確認して弾かないとボケていくしかない。
毎日補正を要するもので、コンサートやレッスンも使ってうまず、たゆまず、あせらずに、メンテナンスし、修正補正し続けるしかありません。
覚えたと思っていても、音楽から離れてしまうと、感覚はずれていくと考えるべきです。
まあ、一度憶えたカンはすぐ取り戻しますが、環境設定とか環境調整とかがかなり重要です。
最近はナイロン弦が便利だとみなさん使ってますが、どれだけピッチが安定しても、そこには音感や演奏の油断しか生まれない。大抵の場合、安定がそのまま集中になる必要がある時間はせいぜい1楽章の間です。
練習や演奏の空間の温湿度とのお付き合いは、少しの気遣いと呼吸という人としての当たり前の感覚として必要なことです。
空気をきちんと読んで、常に美しい音楽をする心がけを育むうえで、ガット弦は最高峰です。
高い楽器をいかに楽に弾くかを合理性と見るか、鳴る楽器を鳴らす上でいかに気を遣うかを音楽と見るか、どこにどんなふうに気を遣うか?それもまた個性というか味になります。音造りは追究するだけの価値があります。
そもそも気を遣うのが難しい人がどうやって練習したり演奏できるのかわかりません。
チューニングや音程の取り方と弦の材質の選び方は、かなり深い関係だと思います。両手に伝わる感覚がまったく違うからです。
私の個人的嗜好と言われるかもしれませんが、バイオリンの弦はガット以外はあり得ません。
よいナイロン弦はいくつもありますが、合成調味料やプラスチック製品の類いと同じものは、練習用として使うくらいしかないと思います。人のことはあまり言えませんが、バイオリン弾きにはずぼらが多いというか、なんでも金で解決したがる傾向があるのでしょうか?最近のナイロン弦価格はガット並みですし。演奏しながら微妙なズレを補正し続けるくらいできない演奏者なんて、そもそも演奏者なのか?バイオリニストなのか?とすら思う今日この頃です。