この曲を弾くと学生のころの同級生を思い出す。
学生の弦楽合奏グループでチェロを弾いていたA君が秋の愛好者だった。A君は高校生のころオケでコンクールに入賞した経験がある。
私は春が好きだったし、学生は春と相場が決まっているので、お互いの嗜好に合わせてバイオリンソロとチェロで春と秋を合わせて楽しんだ記憶がある親しみの深い曲だ。
イムジチ合奏団が近年もまだ来日しているが、当時から有名で、チケットが高いのも変わらない。私はそんなチケットに手が出ないから、CDでイムジチの何人かのソロを聴き込んでいた。春を弾くときにはストコフスキーのものを参考にした。最近はイムジチもYouTubeにもアップされている。
秋は収穫の季節である。2楽章はあまりにも暗い憂鬱なものを感じるが、1,3楽章は明るくて軽快ですばらしい。
何年か前に長岡京室内アンサンブルの演奏を東京文化会館で楽しむことができた。ユーチューブにもアップされているが、生を目の前で楽しんで、自分も弾きたくなった。秋は谷本華子さんのソロで、このアンサンブルはとても面白い物音を楽器として採用する趣向のあるものだった。ちなみにお目当ては夏のソリスト石上真由子氏だったのだが、どのソリストもそれなりに素晴らしかった。もし四季に順位をつけるとすれば冬、秋、夏、春だった。
学生時代ふざけて一緒に遊んだA君とはもう20年以上会っていないが、人間に生まれてきたからには、あほな春だけの人生で終わらないようにしたいものだ。