シャコンヌで有名なのはバッハとこのヴィタリーのものだろう。
バッハのものは少し長いので聴きごたえはあるが、暇な時に聴きづらい。しかしヴィタリーのシャコンヌもなんとも重たい感じがして、聴きごたえがある。なにか深刻な宗教曲の趣であり、親しみやすいというより神妙な気持ちになるほうが強い。
あえてシャルリエ編のものなのだが、これはスズキメソッドの指導者試験の課題曲でその指定があったので、それにしたというわけではない。最初にレッスンを受けた先生がスズキ出身の方だったから、この楽譜のものしか今のところ弾けないので、他にたいした興味をもつ機会がないだけなのだ。
全部研究しているわけではないが、この楽譜の版は難易度が中程度であると思われる。この曲はポジションチェンジの練習曲かなと思うが、左手の形がきれいにできるようにフィンガリングされている。完全なる3度音程も学びやすい。フィンガリングオクターブは1か所でてくるが、これは音階も含めて慣れが必要になる。早い時期に練習を開始しておかねばやりにくい。
しかし最終ページの迫力はなかなかの盛り上がりで、高音のオクターブも効果抜群なので、もはや宗教的エクスタシーすら彷彿とさせる崇高な魂を感じさせる。出だしだけの単なる重たい曲ではなく、地を這うような出だしから飛躍跳躍していって最後は高みに到達して圧巻の最後を迎えるといった感じだ。ただ、ゆったりした感じというより鬼気迫る感じなので、聴いて楽しむには限定された状況が求められるところかもしれない。