いくつかのCoda社の弓を弾いてみて、音や弓身が硬い印象のものがあり、その印象は各人各様だ。
しかしそれは売らんがための印象操作の場合もあるから要注意。
その中で、ハイグレードモデルのMARQUISEで音の硬さは感じない。硬い音も空気感の音も腕次第だ。
ある程度の専門家の意見では、硬いと自然にバウンドする位置が弓先寄りになるそうで、もうひとつは弓の持ち方であて方が変わればバウンドする位置が変わる。
そのうえで、フランス式の持ち方だと私のMARQUISEは中央寄り弓元側でバウンドし易い。ドイツ式では数センチは弓元に近かった。
つまり、木の弓で言えばかなり硬い部類で、それでもまだ木の範疇とかぶるのでよい方だ。
MARQUISEやカーボンの欠点がよくわかるのは、移弦の時にわかる。
カーボンはぎこちない角張った移弦になりがちだ。これも私はドイツ式でははるかに難しく感じ、フランス式だとマシだが、木の弓にはそこが唯一敵わない。
カーボンは低音から高音まで、まんべんなくよく響くと宣伝している奏者がいて、ハイグレードではそれはその通りだと思う。伸ばす音も跳ねる音も響くし、かなり良い木の新作の音と錯覚する。
しかしどうしても、移弦だけはMARQUISEですらわずかに違和感があるので、弓身のねじれ具合をわずかに変化させることで、もう一歩のところをさらに馴染みやすくできるだろう。
これは専門家が支障なく使用しているから私は当面技術力を磨くよりないが、社の研究開発でやったら更なる進化ではない完全な完成品を作ることができる点である。フェルナンブーコのような繊維の編み方の製造コストの問題がでてくることと、世界中の弓メーカーが青ざめることが想定される。
欠点とはいえ素人やアマチュアには微妙なのでほぼわからず、一般論としては、今でも十分すぎる性能であることに変わりはない。