FujiYama’s blog

バイオリン弾きの日常的な生活の風景、感想などのブログです 政経もけっこうあります

言うべきやるべきのバイオリンレッスン(クロイツエル22番練習日誌)

トリルの練習がいくつか続く2022年の春。
クロイツエルは15番から22番でトリルを使って左手の形をおぼえさせる。
独りではトリルなんて練習するものではないとたかをくくっていた。
実際にやってみるとまあ同じ不得手で同じようにうまくいかぬ。
練習すればするほど不得手の刷り込み、苦手意識が深まるので、実はちょっと練習を手抜きした。
先生はすかさず練習が足りていないと指摘くださる。
そして優しく丁寧になんべんも同じことを言わせるなという意味のことをおっしゃった。
ドキリとするほど静かに。

小指のトリルとトリルの発音を綺麗に弾ける速度で演奏して必ずしも指示速度でなくても構わぬと毎回言われているが、また無理な速度で突っ込んだ。
言われている意味をアタマで理解しても、そのままどこかへ忘却して次のレッスンでは同じ失敗。
さらに別の先生のレッスンで、シュラディークのやりなおしで小指の載せ方が劇的に改善したから、多少早くても楽勝と踏んだ甘さに厳しい御指摘である。
改善からわずか一週間で、22番はほとんどさらわずに弾いたのでは、まるでダメな演奏になるのはサルでもわかる道理である。

深く反省した。
♪=160、つまり四分音符を1分に80回の速さでいきなり弾けるわけもないのに、そのトリルの速さで72回の速さで弾くという暴挙はやめて、まずは♪=132、つまり四分音符を1分に66回の速さでしばらくノーミスで弾く。69、72と次第に慣らしていく。
六連符とトリル一回とトリル二回のものを各々三回以上ノーミスで弾く。
ベテランプロ奏者は88で綺麗に弾く。
速さは後回しで綺麗なノーミスだけを弾くことが練習になる。
80で弾けなくもないところまでは来た。
まだ油断するとあやふやな時があるから、またしばらく66、69、72で練習する。
トリルの粒を綺麗に揃えて、1音もはずさない練習。
指の動きの速さを自己統御する。
勢いで指を動かさず、計算どおりに指を弦に載せる。
ネックを握らない。
つまり人差し指と親指を完全に滑らせるためにも脱力する。
シフトチェンジと小指の完全統御を実現するのは脱力だ。
シュラディークのとおり薬指を基準にすると、親指人差し指に力ははいらない。

バイオリンはみみっちい。
繊細で小さな音の変化を表現する。

この楽しさは魅惑的だ。
練習しているとバリエーションと気分転換が大切だなと思う。
同じことをずっと単調に繰り返すのは衛生上よくない。

できるように言うべきことを言う先生。
できるようにやるべき練習をやる生徒。
相呼応して、師弟相対でしか上達しない。

今度こそ綺麗に完全に演奏するべく演奏は完全無欠に絶対ノーミスでしかやってはならない。
昔の教室の仲間たちも、昔の自分も絶対ノーミスだった。
クラシックの常識を思い出さないといかん。
指先の点で指板をとらえる緻密な感覚。
出す音の繊細さを思い出さなければいかんのだ。