FujiYama’s blog

バイオリン弾きの日常的な生活の風景、感想などのブログです 政経もけっこうあります

委嘱作品・世界初演に立会えた好運

クラシックの演奏会に行くとゴッソリチラシを貰って手荷物を増やすことが多い。
チラシの中には、委嘱作品・世界初演というコンサートがちらほらある。
Facebookの投稿でも、Facebook友達のバイオリニストが世界初演やりましたとかいうものがある。
なにか感慨深いものはあるのだろうが、遠い会場にそれほどまでに興味を持てなかった。
昔、作曲科を卒業したあるプロオケのステージマネージャーに半ば恨みごと、半ば正当な主張を聞かされたからなのかもしれない。
ある程度以上の価値ある作品を作って、まったく評価されない場合もたくさんあるのだ。

昨日、光栄にも素晴らしい新作の世界本邦初演の場に居合わせたのは、本当に不思議だ。
いろんな困難やめぐり合わせが重なってその作品が目の前で誕生しているのを感じるのは、とても幸せな気がする。
森円花氏の神話という2020年の作品で勿論ご本人はおみえになっていて、演奏は小川恭子氏。
シマノフスキの神話のイメージがいくらかかぶり、武満作品のイメージがどこかしら連想される。とても日本人らしい作品で、バイオリンの演奏技法をかなりご存知で作られたものとよくわかる曲。半端な演奏技術ではまず弾けない。
無伴奏バイオリンなので、バイオリン一本丸裸。
音楽が地の果てのさまよえる孤独な魂というか感覚的で想像をかきたてるあたりが日本的。
現代日本曲が好きな人には面白いのだろう。
プロコやショスタコあたりで馴染まない人には少し敬遠したくなるものもある。
現代曲の演奏機会は実はそこそこあるので、その場その場で感慨を持たせるだけの作品なら、また演奏されるだろう。
技術力にそれほど音楽性を求めていない、シンプルに楽譜を音にしたらそんな感じになるという易しさがあれば、これから拡散して知名度も上がるのかなと思った。
少なくともバイオリンを手にするわたしが目の前で聴いていて、暗さも寂しさもある日本人の独白のようでもあり、演奏技法追究と音楽表現の妙がとても面白いなとワクワクさせられた。
現代曲は門外漢でほとんどわからないが、意欲ある音大生に取り組んで欲しい秀作だと感じた。
追記
YouTubeにおそらくこの初演時のものだろう録音がアップされた。
M.Mori MYTH for solo violin 2020 Kyoko Ogawa