FujiYama’s blog

バイオリン弾きの日常的な生活の風景、感想などのブログです 政経もけっこうあります

慢心にはいろんな慢心があるので

f:id:FujiYama:20211222162236j:plainブルッフスコットランド幻想曲という名曲を聴いている。
むかしから実に風情があって深さと華やかさと哀愁と喜びと、いろいろな感情が昇華されるいい曲だと思う。
このいい気分というのが、実は厄介な人間の日常的失敗に直結している。
日蓮は軽病と重病にわけて、釈迦や阿弥陀でも軽病には効き目があることを認めていて、名曲はまちがいなく軽病には効果抜群である。
しかし深さが足りないから、どうしてもいざという時、重病になったときには、これは効果が足りなくて大事に至ることが多い。
バッハを演奏するときに、浮かれて演奏することは難しく、心を鎮めて取り掛かるのが普通だが、これも一つのいい気分の種別が存在していることを示している。ベートーベンを聴いて豊かな心になるとき、かなり他人に対しておおらかに接することができる人が多いのではないだろうか。
この種別をある程度経験して統制する能力が社会人としての能力の重大なもののひとつである。
そして人生を間違えるような失敗や大きな失敗をしないように、様々ないい気分を選ばなければならない。
浮ついていないいい気分というのは、種類が少ない。
たいてい浮つくだけのいい気分が多い。
宗教も音楽も人をいい気分にして、どんどんお金を出させたり献身に駆り出したりする専門だから、いい気分というのは絶対的になくならないし、すべてが悪いとまでいいにくい。
しかし、一度きりしか検証できないのがわれわれの人生であり、なんでもいいというわけにいかない。
死にのぞんで穏やかに笑顔でいられるとか、衝撃を受けるようなことに間違えないで対処できるとか、さまざまな個人的必要性というのがあって、幸福追求権として尊重されていながら、人間は多くの場合失敗しながら生きて死んでいく。
浄土真宗をベースにすると理解力が十分にあっていい気分でありながら発言発信する勇気を封殺されたままズルズルと地獄へ誘導され、新興宗教をやってみると社会貢献しているような地球のために生きているような錯覚を起こして必要以上に肩に力が入り、キリスト教神道をメインにすると世界の中心が自分であって欲求従属だけに明け暮れるようになりがちでとてもいい気分でありながらまったく衝動や欲望にもろい。どれも身の破滅となることに変わりはなく、死の恐怖を越えられず、他人や社会が悪いのだと考え、なんとかごまかしていけばよいと済ませるような浮草の人生になる。

しばらくバッハの協奏曲にどっぷり浸ってみてから、日蓮正宗のお寺に参って唱題をしていたら、なるほどこれが違いなのだと鮮明に覚知することができた。
いい気分の最高峰というのは、ほんとうに普段の感じでハリがあって透明で混じり気がない。
まったくうわつかないのに、とてもいい気分でこれでいつなにがあっても大丈夫という感覚。
死から出発した生の充実感と深い喜びには微塵もぼやけたところはない。
いろいろないい気分を経験してきて、これは地に足がついているなという、しかも宇宙遊泳しているような感覚が両方ある。
オピッツ氏のピアノの印象とか遠戚の書道家の話とかを思い出しながら、かれら天才とか芸術家の境地が、実はややツボから絶妙というか微妙にずれていることに気が付く。
間違っているというのではなくて、照準から微妙にずれた個性の色彩あるスペクトラムという感じであり、一方その根本のツボそのものの真理真実というのは、なんの飾り気もないどこにでもあるただの整った精霊なのである。安定して浮遊したまま回転する特殊伝導体を思い浮かべるといくぶんイメージが近い。われわれが追い求めがちな物量や富や絶対値の大きさとは次元が違う。
宗教家や思想家、エリートの書物を読んでも、そのツボから確実にずれたり誤誘導したりしているものばかりで、世間的認知はされていないものの、そんなに見事にツボをあてて、誰しもみなさんが安心するようにできたのは日蓮正宗だけだった。
こうして考えてみると、この無限の宇宙の中心点は大石寺の奉安殿にまします大御本尊で、そこから少しずらしたところの優秀な真理の説き手、神を説くものが芸術家で、政治権力や名誉名声のために才能が半端だった芸術家と政治家と宗教家が世界を滅茶苦茶に誘導していることがわかる。地球の神はキリストであり、宇宙の神は日蓮であり、日本の神は様々。
これから外れたものばかりが世を席捲してみなさんが間違いを犯す。
すべていい気分になって、間違いを犯す。
南無妙法蓮華経というコアもすべて宗教家のフィルターをかけるとひずみゆがむ。
大石寺で明瞭に知覚できる「法華の慢」というものだけが、安心できる慢であり、この再起再生し続ける不老不死の魂はちょっといい気分である。