学生の頃何度か食べてみて、味付けがそれほどナチュラルでないのでそれほどハマらなかった。
大学の門の真ん前にローソンや本屋と同じ区画にあるので、入学の1993年からついつい入ったような気がする。
時折行っていると偶然、ゼミの先生(当時助教授)と一緒になって、学生には贅沢だなどと説教されたことが懐かしい。
たしかに富豪の跡取りではない。
安い店を贅沢に感じる庶民的な大学でもあった。
雑草や雑種文化、大衆酒場的な土壌はわたしには合わない。
会話が成立しない。
その寂しい気持ちが大学時代の象徴として、和食さとの独りごはんだったのだろう。
関西のチェーン店で二国ラーメンとか長崎ちゃんめんとかいくつかの懐かしいロゴが消えたり閉店したりする。牛丼チェーンも今はなくなった。チェーン名は忘れたが、カツ牛丼に絶妙な味噌ダレがかかっていて徹夜明けに生玉子をおとして食べたら不健康になるが、病みつきにもなった。
栄枯盛衰の中で、さとは無難に続いているのが嬉しい。
助教授はいつの間にか学長さんになっていた。
さすがに年齢と家計簿でさらなる贅沢ばかりを志向するようになったが、予算額は同じままで金額的には贅沢しない大人になることができた。
ホンモノ手作りの和食や洋食洋菓子で育てられた時期があったからこそ。
おウチの素朴な味わいや楽しみに比べると、華やかな独り外ごはんはかえって寂しい感じがする。
そんな2023年春先の心象風景。
学生はよい時期だが孤独な戦闘の波状攻撃をかけるハードな時。
わたしにとっては空転時代の初期だったから、今ようやく地に脚を付けて歩きだしたようなところがある。
無数の思い出が刻まれた店舗に、さようならありがとう。