FujiYama’s blog

バイオリン弾きの日常的な生活の風景、感想などのブログです 政経もけっこうあります

現実逃避でバイオリンが巧くなる?

f:id:FujiYama:20220330162423j:plainYouTuberのバイオリン弾き、講師が現実逃避のタイプでバイオリンが巧くなる、上手くなる、とかいう面白い話をしている。
一理あると思う。
追い詰められなければやることをやらないタイプや、ひたすら現実逃避の夢中で現(うつつ)を抜かすタイプ。
ある程度時間をかけるから一応うまくなる。

ただ本当は結局のところ、現実逃避はバイオリンでは不可能だというところに行き着く。
バイオリンの現実と向き合う必要がある。
自分の出す音は、ひとつの現実である。
これをありのままに聴いて、修正の必要を感じるのは、音の現実と向き合うことだから、現実逃避ではまともなバイオリンは弾けない。

あたりまえだが、音は現実で夢ではない。
名器で奏でる名演の音を基準にした判定が容赦なく下る。
バイオリンの先生が指摘なさる音の造形、色彩、透明感などはシビアな現実である。
多少時代や個性はあるが、人の心を打つ音づくりを心がけたい。
名手の古澤巌さんが仰るように、よい楽器を鳴らすのは難しい。
繊細で気難しい女性に気持ちよく唱ってもらえるように多少神経を使って弓をのせるような日々は、その美しさに陶酔してミスしないように気を確かにもち続ける修行でもある。