極寒の地で無駄なことはできない。
バイオリンはロシア式の奏法が世界標準。
弓の持ち方が普及しているドイツ、フランスの持ち方とは異なり、ある面合理的な持ち方とされる。
今の西側だけでなく、第一次大戦のころにはドイツにも伝わり、たしかフレッシュがベルリンで本をまとめたのが1925年だったかと思う。
フレッシュの師匠のレオポルドアウアーが一躍有名になったのは、映像の普及からで、それより以前からモスクワ流の音楽教育は高度なものだったようだ。
今の欧米で活躍中の教師ザハールブロンら超一流は、モスクワ流なのだから、バイオリン弾きたちは、一目置かざるを得ない。チャイコフスキーたちは西側に遊学したが、もともとモスクワ留学にはとても価値もステイタスもあった。
フレッシュの音階をやらないバイオリン弾きはモグリだから、マスコミでとりあげられているのを見かけるが、プーチンに抗議するバイオリン弾きたちは、おそらく内心とても複雑だ。
大戦、革命、動乱、紛争で、多くの演奏家が亡命、逃亡、移住している。
また、大変な状況になり、生き延びて才能を役立てられるとよいなと、極東から祈るしかない。
どこの国籍の演奏家であれ、どんな政治思想であれ。