これはカクレスズキメソッドとして有名な曲である。すでにご存じの方もおられるだろうが、スズキメソッドは10巻までではないのである。これが11巻。ちなみにこの楽譜はスズキではない。
バッハをいつも感じるのは、どの曲でも音程の美しさが際立つところである。バロックや古典では音程がとりやすく、音程の練習には非常に向いている。そういう意味ではスズキの選曲は正しいのだ。
この譜ではないが、昔練習していた譜には、弓の使用箇所が指定してあった。レッスンで指導されたものを書き込んでくれていたものの写しである。
バイオリンは弓を完全に意識的に使わないと弾けないのにもかかわらず、当時そういう具体的な指示があるということを最初に知ったコピー譜だった。別になん巻でもそれは同じことなのだが、意識したことがなかったので新鮮に感じたのである。そういういう意味でよく覚えている。
バイオリンの右手は、いかに明確にはっきりと伸びやかに使うことができるかに音楽表現がかかっている。
ただなんとなく弾いても音楽表現にはならない。どん詰まりは論外だし、音の配置を際立たせるためにベストな弓づかいを心がけると、なるほどバッハである。