名曲にひかれて音楽にはまる人は多いと思います。このじつに短い名曲は、なにが名曲なのか説明よりも百聞は一聴にしかずです。
説明が一切いらない、ストレートに感銘を受ける曲こそが、私は名曲だと思います。
グリュミオーの名曲集アルバムの最初に収録されていてあまりに有名なのですが、私は幸にも、ホテルオークラ東京のロビーで、小川響子さんの生演奏で聴くことができました。
小川さんはミュンヘン国際のピアノトリオ部門で優勝なさった有名な実力者です。
小川さんは謙虚にもオイストラフのベートーベンが素晴らしいと仰っていましたが、彼女の演奏は過去の偉大な名手たちを凌ぐか或いは彷彿とさせるような素晴らしいものでした。
私は小川さんの演奏を聴いて速攻で楽譜を購入してレッスンを受けました。人間の行動で衝動的なものにはあまり良いことがありませんが、人生におけるこの衝動こそ正しいものだったと思っています。
技術的になんにも難しいところがなさそうな短い曲ですが、案外難しい曲です。親しみやすいシチリアーノ舞曲のリズムですが、リズムの揺れに王道のものがあって、ポジショニングが結構地味に難しい曲です。弓の配分も適切にするととても弾きやすくなります。
知識として説明を加えるとすれば女性作曲家で盲目の方が作った作品だということでしょうか?
一度ならずもう一度レッスンを受けて、さらにしっかりした演奏にしたいなと思っています。ほんとうに素晴らしい曲の場合は、自然とそういう気持ちになるようです。どうしてもどこまでも大切にしたいという気持ちに。