年収300万円未満のワープアがここ30年で急拡大して問題になっているが、別にだれも困っていないという考え方がある。
安い労働力は会社経営にとってプラスであり、景気後退局面の中では仕方のないことだからという。
景気とは言っても株価はぜんぜん下がらない。コロナでも下がらないから投資家や資産家はどこが不景気なのかよくわからない。
だれかの給料が安いからと言って、誰かに相談したら給料が上がるわけでもないから、なんの問題にもなっていない。
かのように見える。
時間の切り売り、シンプルな作業内容、初期投資がほぼないもので労働をするということが、一番の報酬の基準になるから、給料が安いのは当然なのか?
会社はただ個人の生活を無視して安く労働力を使いたいだけである。
雇い主との信頼関係が作業内容だけでも仕事としてできる人がいて、その労働者の人生設計を完全に無視した雇用関係である。
一定の人たちには、それしかないという状況。
みんな30歳までには正社員になれるように努力してはいるが、単純作業なら何年やっても同じままのことが多い。やっている本人が複雑な仕事をしているつもりでは駄目だ。経営から見て単純作業ならそれは単純作業という扱いになる。
やむなく最初から契約社員を選択する際には、ぜひとも、正社員登用あり、の具体的な事例、本人から話を聞くようにしたほうがよい。
正社員をちらつかせてこき使うのが当たり前だと思っているのが経営者である。
労働経済という学問があるから、参考にするのもよい。会社の内部昇進システムを扱うことが多いが、契約社員と正社員の仕事内容と登用のきっかけについて研究したものもあるだろうから、自分がこれから就く仕事の流れを客観視するために、書籍を探してみるとよいだろう。昔から職業別、業界別に調査が行われている。
若さや気合や根性、努力、頑張りという一見美しい言葉に酔いしれていてはいけない。気が付いたらそんなものはまったく役に立たない時期が訪れることがわかっているからだ。
政府と国会で契約社員の合法性が確立されてしまったのだから、だれもその責は負わないと決定した。もはや若者が家庭を持てない、人生設計を作れないことは、なんの問題もないと。生活もままならないような収入であっても国民は老後の貯蓄をしろと言われている。
若い人たちがなぜ政府や与党に対して意思表示ができないのか追い追い考えてみたい。若い人たちをここまで安く使ってよいという形を作ったのは、政府、与党と旧民主党なのだが。
私は最初からその3党も信用していなかったからこの15年くらいというもの3党に投票はしていない。政府に対しては要望をたくさんしてきたが、まったく聴いていないようである。
政治的盲信のおそろしさは年を取ってから気が付く人が多い。
恋は盲目という。
日本の先進国としてのごくごく一部の成功のはなやかさに恋をして、なにもわからないままにがむしゃらに努力することのおそろしさである。
きっぱりと知らねばならない。
努力はまったく報われないことがあまりにも多いことを。
アイフォンで生計がたつ人間なんて一握りに限られている。アイフォンさえあれば幸せだという人がかなり多いから、私は自分のきびしい境遇すら忘れて、とても切ない哀しい気持ちになってしまった。