1、なんであんなに音がずれて聴きづらいの?
2、まっとうな練習してるの?
3、どうにかならないの?
そんなツライ声、苦情が聞こえてくるのです。誰でも音痴は聴いていられません。しかし声の音痴をなおすのとバイオリンの音痴をなおすのと、大変さは同じくらいの難事業のようです。
幸い私は音程がわずかにずれているとすぐに気が付くことが多いですが、大体において大きく狂っているものをそのまま演奏している人が相当存在していますね。これは周囲の人たちがはっきり「音狂ってる!!!」と言ってあげないことが悪いと思います。その上で本人がそのまま演奏しているのはもはや嫌がらせであり悪趣味とまで言えるでしょう。
でももっと難しいのは微妙な音程の狂いについてです。これはほんのわずかなひずみのようなものを生み出します。これを本人が自覚するのは、もっとも困難です。
最近はチューナーが2千円くらいで販売されているので、チューナーを使用して音程を合わせようとする人たちが増えています。ピアノで合わせようとしたり、みんな苦労しますが、チューナーだと目で見えるので、はっきりわかって良いようです。
しかしそれでもイザ曲を演奏するとなると元の木阿弥。
やっぱり微妙に狂っている。チューナー音程とバイオリン音程はそもそも違うし。
これはね。やはり怠慢だと思いますね。
ゆっくり練習して音があっているかどうかをよく聴かないといけません。
私もふと油断するとやってしまうのですが、音が微妙にずれたまま先を急ぐのです。曲というのは流れていればなんとなく流れてしまうものなので、そのなんとなくというところに油断とスキが生れます。そしてそれが習慣化した時、その人は音がずれたまま演奏する下手なアマチュアとなるのです。
一音一音、はっきりと丁寧に音をさらう練習をしなければ、どんなプロでもすぐに下手になってしまいます。もちろんプロは一音一音がよく聞こえているから多少早く練習できますが、それでも音階や基礎練習は毎日一音一音やっています。
アマチュアがチャラチャラしていたら下手な音程とズレたリズムになるに決まっているというわけです。つまり練習内容に問題があって、しかも周囲の人や師事している先生がきちんと指摘をしない場合に起こる人間関係の問題かもしれません。実際ただ儲かればよいといういい加減な指導をする先生方もたくさんおられます。先生と呼ぶのもなんですが。
口やかましくコマゴマと指摘されても辛抱強く丁寧な練習ができる人は上達しますが、そうでなければうまくいかない。なんだか新しい仕事を覚えるときみたいです。
もはや難行苦行の域であって、仕事疲れを癒すなんて夢のまた夢。もうひとつ仕事を抱えるようなもので、わざわざそんな趣味をやる人の気が知れません。よほどお好きなんでしょうね。
つまりアマチュアのバイオリンは生活にゆとりがある人にしかできないということです。ゆとりがなくてやろうとすると練習が手抜きになって迷惑行為に陥ります。気を付けましょう。そして下手くそだと思ったら迷わず意見表明しましょう。少しでも気が付かせないと、その迷惑行為は収まるどころかかえって増長してしまいますよ。アマチュアバイオリンが少しでも上達すれば、この世は平和になることでしょう。
いやひと仕事ですよ。バイオリンを覚えてそれを維持していくということは。。。
もしあなたが音楽やバイオリンに癒しを求めるのならば、演奏することではなく鑑賞することを先決にいたしましょうね。美しい音をこころゆくまで楽しむことができるようにコンサートはいつでも開催されています。会場でプロがお待ちしております。
まともにバイオリンを演奏できるようになるまで、だいたい5年から10年近くはかかりますから、それまでの間、周囲に忍従を強いるということを忘れず、その数年間を決して無駄にはしないという覚悟のもとにやってもらわないと、本当に大変な迷惑としかいいようがない酷い悪趣味に終わります。時間と労力と金銭が少なからずかかることを考えるともはや笑い事では済まされません。
ただ、少し考えておかなければならないのは、周囲にもわずかな忍耐は必要でしょう。クラシック音楽の場合は例外はありますが、そこに非暴力の平和主義や哲学性が含まれています。数年間くらいは我慢してあげるとよいでしょう。初心者のうちは周囲がたいへんな思いをするものですが、どんなにうまい人たちもみんな最初はひどいぎーぎー音から始まるものです。出来る限り広大な邸宅でやってもらえればよいのですが、みなさんそういう訳にもいきません。あまり練習がうまくいっていないなと感じたら「バイオリンいいですね」などと激励してあげましょう。長期間いい加減な練習をしているなと思ったら「ちょっと最近調子が変ですね」などと苦言を呈してあげましょう。遠慮なんていりません。なにしろ聞こえてくるものなんですから。。。