FujiYama’s blog

バイオリン弾きの日常的な生活の風景、感想などのブログです 政経もけっこうあります

人はなぜB級品に惹かれるのか バイオリンケースを選ぶときに考えること

f:id:FujiYama:20201001192404j:plain

サントリーホールエントランスの壁に映った照明

 きらびやかで高品質な音楽ホールとして世界的にも有名なサントリーホールへ時々音楽鑑賞に行きます。ここのホールの音はくどいようですが美しいです。高いお酒もそうらしいですが、いくら飲んでも、いくら聴いても悪酔いしません。なにかすっきりした透き通ったものを感じて心地よいものです。

f:id:FujiYama:20201001192507j:plain

B級商品の圧倒的存在感

お値段2万円台 軽量1・8キログラム

 それに比してB級品とか安いお酒というものは、ちょっとの間いい感じがしたかと思えば、あっという間に暗闇の中へ転げ落ちるといった塩梅で、ロクな楽しみではありません。それでいて、お手頃な価格でお買い得感を主張して多少刺激も強いものが多いですから、気を付けなければなりません。

 この記事のテーマと題材ですが、ある時楽器店でケースをしきりにすすめられて、嫌な思いをしました。GEWA(ゲヴァ)社製の必要にして十分なケースで、グレードがあまり高くないわりに造りがしっかりしていて愛用しておりました。A級メーカーのBグレードとでも言いますか、問題のないものでした。それを汚いとかスカスカだとか揶揄する店員がいるのですから驚くと同時に気分が悪くて仕方がありません。東京や都市部ではよくあることですが、東洋出身らしい外国人が勤めているのです。

 さて、それはともかくシルバーのケースが欲しいなと以前から考えており、予算と価格からイーストマンのケースを選ぶことにしました。しかし10万円前後もするバム社製やその他5万円前後から10万円くらいの日本製・イタリア製などと比較して何がそんなに違うのか、少し精力的で経験豊かな店員さんからお話を伺って勉強してきました。

 日本製はクッション性が高いケースになっていて、空洞スペースがしっかりなければ楽器を損傷してしまうようなものです。一長一短です。しかしさすがに金具はしっかりしたもので、2点目の違いとして背中の留め具なども壊れにくいように二つ止めになっています。最近は三角にストラップを取り付けるのではなく、ランドセル型にストラップをつけるようになってきており、それは1点どめでは金具がすぐに壊れるからだそうです。一点どめでは2~3年もてばよいというお話でした。バムは相変わらず1点留めがありますが部品の品質が土台違います。

 フランス・イタリア・ドイツといずれもクッション性より頑丈性ですから、やはりそちらを選びたくなります。しかもランドセル型ストラップ金具を選ぶのが普通でしょう。(もちろん日本製にもそれなりの保護機能はあります)

 3点目にパッキンです。外気と遮断性、密閉性をどの程度確保できているか、かつそれが長持するかどうか、という長期の気密性です。当然材質の違いでその変化率が変わります。バムなら信頼性が高いものが使用されており、イーストマンではすぐにグニャリとなります。イーストマンもさすがに空気がスウスウと入るほどではないそうですが、変に閉じづらい密閉性の高いケースに変化するそうです。ファスナーだけのものよりは良いでしょう。これはいくらかシビアに見ておかねば真夏や真冬には使用できなくなってしまいますので要注意です。YKKの止水ファスナーであればいくらか性能があがります。

 4点目に本体がグラスファイバー、カーボン、木製のもの、発砲ウレタンのものがありますが、カーボンでも真夏の直射日光で高温になりやすい色のものがあり、要注意だそうです。昔使っていた東洋の製品のように木製は3キロもあるような重たすぎるものもありますが、最近は軽くてより適切な材を使ったよいものも出ています。8万円ほどのイタリア製のものを提げてみると驚きの軽さでした。木製で2キロ程度のものは貴重です。しかも薄い。安価なものによく使われる発泡ウレタンも造りによっては温度変化に強いものもあるそうです。

 5点目は、弓の収納の方角です。バムだけが頭とお尻がさかさまになっています。ケースが破損するほどの事故が起こった場合にそなえて、楽器本体が傷つかないように設計されたそうです。弓のフロッグが楽器を傷つける場合が多いそうです。なるほどなあと感心しました。

f:id:FujiYama:20201001203711j:plain

弓の留め具が左に付いています

一般的には右利き用に右についています

 6点目が内装の質感です。価格に単純比例しているようなところもありますが、税込み8万円以上になると少し良い感じな内装です。ここにこだわるともう安いケースは選べなくなります。

 7点目はストラップの質感です。B級のイーストマンはガチャガチャと音をさせる安い金属がついていて、しかもそれが壊れやすいときています。しかしGEWAのストラップにはしっかりした上質プラスチックの留め具がついていて故障知らずです。さらによいものはクッションがしっかりしていて背負っていて疲れにくいようです。

 8点目は楽譜の収納、小物や肩当の収納です。小物と肩当は必須です。収納できないものは、メーカー品ではありません。どうしても楽譜収納ができなければ困るというものでもなく、あれば便利です。

 形状ですが、三角形か四角形か半月型がおおまかな違いでしょう。四角形は頑丈ですが重くて高価です。半月型は近年出たばかりで定評がまだありません。デザインによっては、スポーツバックのように見えます。

 私は今回、低予算が条件で、毎日のように持ち歩かないこと、使用楽器が中途半端な中級品であること、などからイーストマンというB級メーカーのものを一択で選びました。内装で贅沢をしたいとは思いません。

 ではもし予算があったらと言えば、今出ている商品の中からでしたらバム一択になります。でも、本当に欲しいのは軽い木材で作られたシルバーメタリック塗装のものです。。。おそらくバムやイタリーメーカーが製作したら10万円は下らない価格になると思います。外気との遮蔽性があって温湿度変化に強い木材で製造された外観上の金属感があるような機能と外観を両方満たすような製品は多分これからも企画発売されないと思います。

f:id:FujiYama:20201001205857j:plain

大人気BAM コンツアードテキサス

 B級のイーストマンというのは富裕層から後ろ指を指されるような性格のあるケースメーカーです。塗装の痛みやすさや壊れやすさなど、まさにB級そのもので、毎日使う人からするとあり得ない選択のようです。苦情続出製品です。

 しかし私が何を求めているか、というところからすると、別に何の問題もないお気に入りケースということです。高価なバムを購入してもなお、それは自分の希望通りではないからです。

 バム製アイスのホワイトがシルバーメタリックと錯覚して(取っ手が倒れると光の当たり方次第では銀にも見えます)、ちょっと愛おしい。10万円以上・・・。

f:id:FujiYama:20201001203629j:plain

BAM ICE