FujiYama’s blog

バイオリン弾きの日常的な生活の風景、感想などのブログです 政経もけっこうあります

バイオリンの弦 種や仕掛けがあるのかな?

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定番のコスパE線 

一番交換するので数百円のものです


 初心者から中級にさしかかるまで、ちっちゃな頃から成長期までは一度調弦すると途中で音が狂わないようにするつもりはなかったのですが、クロムコアをずっと使っていました。コスパ最強です。実に初心者がキンキンする音なのはこれが原因なのではないかと思っています。そうなのです。スチールそのものの弦ですからカンカンキンキン言いましてなんの不思議もありません。できれば早い時期にナイロン弦にしてあげたいものです。

 そこからいきなり私はオイドクサにいきました。オーケストラの楽員さんから勧められて使ってみると良い音がするので、それから20年くらいオイドクサのまま何も考えずに使用していました。ガット弦で張力が非常に柔くて、音もとてもまろやかで、優しい音色が好きなアマチュア向けの弦でした。モダンバイオリンと組み合わせていたので、それはそれは甘美な誘惑でした。

 30代に入って楽器屋さんから種々勧められてから考えるようになりました。弓はまともなものを新調する余地があって、実際に何本もほどよい弓とめぐりあいましたが、楽器そのものの高性能なものは新作ですら二、三百万円からオールドは一千万円以上という異常な価格でとうていお小遣いでは購入できません。投資したら?マンション買えよ、家買えよっていう値段ばっかりです。そこで誰もが苦肉の策として勧めたがるし採用するしかない方法はと言えば、弦の種類を変えてみることです。いい造りの楽器は本当に高くて入手困難。ではある程度安価で造りのマシなものは、ノンブランド、中国製、ロシアなど先進国介入商品ということになります。

 さて、それから財布と相談して弦をお試ししてみる10年以上の長い旅が始まりました。1セットが5000円くらいから2万円くらいするので、一度に全部試すわけにもいかないのです。とりあえず最高級のオリーブを使い古した試供品で試してみると、ボロボロのくせによく響きますが、最高級は最高値ですので、あえなく却下。

 トーマスティックインフェルド赤にはしっくりくるものがありませんでした。響きの好みの問題です。比較がオイドクサなのでなかなか苦戦することは予想していましたがバイオリンのイメージとかけ離れたものを感じてしまいました。 

 次にオブリガートはこれなかなか明るくて低音の響きも豊かでそこそこ気に入りました。しかしわずか3週間程度で音の輝きが激減してしまうのが難点でした。価格も中間帯で後に再び使う時期が訪れます。

 そしてワーシャルブリリアンは渋好みでなかなか味な音がしました。しかも価格が低価格帯。ただ廉価なバイオリンにはあまり向いていないと感じました。プレッセンダとかガダニーニみたいな明るさが特徴の楽器でなければキツイ音色です。しかし味というところの魅力が思い起こされて、現在の楽器で再び張ったところ、今の楽器なら結構いけるじゃないかと驚きました。別にそんな明るい楽器じゃないんですが、低音の響きがある程度あれば、味は発揮できるようです。

 20代のころ従兄弟からコレルリクリスタルを頂きました。これはアメリカンカントリー用につくられているのかと思うほどアメリカンテイストでした。響きの中にカントリーの響きがあるので面白いものだなあと感心したことを憶えています。しかし私の好みとは違うのでした・・・。

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もはや媚薬 ガット弦の最高峰オリーブ

 世界はいつの間にかガット弦からナイロン弦に変わっていて、ドミナントの時代になっていました。たびたび使っていますが、難点がない。悪く言えば別にこれといって良くもない。でも全然使える。ヒラリーハーンの音色です。彼女がドミナント使いとして有名な方です。特筆すべきは昔の名手たちの中にはオイドクサを使う人が結構いて、ドミナントはちょうど真逆の性格の弦だということです。ふにゃふにゃのオイドクサに対してパリッとした反応を示すドミナントです。しかし張力は中間程度のもので使用していてそれほどキツイ感じはしません。これも楽器商から勧められましたが、研究熱心な業界人が行き着くところ、奏者であれば、コスパも考えてますから、たしかに行き着くところなのです。

 しかし人間は人に最良の選択を勧められた時に、素直に聴かない習性をもった一群の集団があります。ケースバイケースですが、可能ならいろいろ試してみたい。

 最高のパートナーがいても浮気は時を超え世を越えてなくなることはありません。

 弦なんてお試しになんの問題も起こりませんので、安心して次なる弦を試し買いすることにしました。

 ーターインフェルドはまずまずの華やかさと芯のある音色で何度か使いました。一時期のお気に入りです。そこそこ良いがもう一つ決め手に欠けるというところでそれ以来リピはありません。印象には残らない感じでした。

 エヴァピラッツィゴールドは、驚くほどの音量の大きさが特徴でしょうか?しかも音色も甘く明るく強い印象。低音から高音まで途方もなく鳴り響きます。子供用楽器をワンサイズ変えたみたいです。ナイロン弦では私の中ではナンバー2です。

 なんとなぜか無理を承知でオリーブセット。これは強烈な媚薬ですね。ガット弦はオイドクサの音が素晴らしいと信じていましたが、オリーブをまともに使ってみると、音色ではこれが最高峰でした。値段そのまま。。。ある意味面白みに欠けるお試しでしたが、何セットか続けて使うほどの魔力がそこにはありました。あっそういえば、学生の頃に知人からお借りしたイタリアンオールドにはオリーブがキンキラしたE線で張ってありました。その時が初体験だったということになりますか。失敬。

 それからヴィオリーノに替えるわけですが、その理由はあまりに音が狂うからでした。ガットはどうにもなりません。実際使用に耐えないものとしてお蔵入りになる時代かもしれませんが、まだ根強いコアなファンがいて、現役のヴァイオリニストで使っている勇敢な猛者もおられます。特にG線の響きの美しさにやられているようです。

 ヴィオリーノも可もなく不可もなく。オブリガートの廉価版のようなパッケージなので、まずまずの明るさと音色ですが、ほんの少しですがオブリガートと比較して少し線が太い音がします。やや粗目な印象でした。

 いろいろ試してみてコスパとあわせてドミナント一択に落ち着きそうです。本心から言えば、安定のナイロン弦志向でオリーブを想定して開発されたパッシオーネこそが本命です。重要な値段が約4倍(セット2万円余)するので、まったく使用の予定に入りません。第2位のエヴァピラッツィゴールドも同じく値段が約4倍で却下。第3位はオブリガートですが、これは実は価格と考えると中途半端。結果として第4位のドミナントがベストチョイスになります。なんて無難な選択なのかと、記事の面白みがたいしたことないなと思いながら、バイオリンなんて知らない方からすると、弦のセットが2万円を超えるなんて驚きのメンテ費用かなと思ったりもします。なんといっても1か月単位で交換する人も珍しくありませんからね。私くらいの練習量だと3か月から6か月程度もたせてきましたが、6か月は正直言って厳しいです。ドミナントにして2~3か月でさっさと張り替えたほうが精神衛生上よろしいかと。そこがまたありきたりな感じですが。。。

 ストレートに言って、上位のエヴァピラッツィ、パッシオーネはたしかに素晴らしい音色で間違いないのですが、あとの違いがなぜかそれほどの違いではないなあと感じました。

 音色と音量はお金で買えるという下らない寒々しいお話でした。

 もちろんきちんとした練習をすることでよく響かせたりインパクトのある音を出したりすることが最優先で効果も最も高いです。ですが・・・・・。そうなのですが・・・・・。そうに決まっているのですが・・・。

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いつかは本命 パッシオーネ

 番外としてゴールドトニカ ヴィジョンソロというセットを試したことを書き添えます。

 ガットのはずなんですが、ゴールドがガットだとわかりませんでした。卑近な表現で申し訳ないのですがショボかったです。スカスカな感じの音でした。トニカはナイロンで昔から好きな人がいるらしいのですが、その良さは私にはまったくわかりませんでした。メジャーなメーカーのガットとナイロンのそれぞれの最安値でした。。。ほぼ同じ印象だったのがヴィジョンソロでした。最安値と3百円違い。

 プロオケの弦アンサンブルの音色の美しさを感じた経験がおありなら、なぜあんなに弦楽器の音色は美しいのかと思わずにはいられません。楽器自体がそもそも古くて良いものが多く、その個性がたくさん集まるとブレンドされて最高の音色になります。そこに弦の違いというのもブレンドされてきます。庶民的に言えば最強のちゃんぽんスープなので、もうたまらんというような音色がするのです。味わい深いんですよね。コーヒーのブレンドくらいの種類では追いつかないもので、庶民的たとえですが。人数分の素晴らしい音色が掛け合わされるといいものです。

 コロナの座席制限が解除されていよいよコンサートが通常に近い形で開催されるようになりました。6月7月8月と、まあ大変で、座席指定を取り直す必要がありました。

 しかしスチールセットや最安値の弦だけは使用されていないようです。

 まったくなんの種も仕掛けもありませんでしたね。大変失礼いたしました。